「じゃあ、悪魔は?」
一人の女の子の質問に、弾んでいたトークは複雑そうに沈んでいった。
「んー……悪魔は、ちょっと……」
「……怖い、よね」
「噂の内容も、情報操作とか裏切りとか、物騒だもんね」
「不良グループの一員、情報屋、ヤクザ……何であっても、悪者感が強いっていうかなんていうか……」
「じゃあじゃあっ、悪魔もイケメンだったら?」
やや前のめりになって質問を続けると、女の子3人は満更でもなさそうに顔を見合わせた。
おいおい。
イケメンパワー強いな。
「イケメンだったら……見てみたい、かも」
「わかる!会うんじゃなくて、遠くから見ていたいよね!」
「そうそう!近づいたら、怖い目に遭うかもしれないし」
「イケメンだと、フィルターかかっちゃって、何をしても許しちゃいそう」
「あははっ!中身ダメ男でも~?」
「許す、許す!」
「えー?」
「皆、考えてみてよ!あの花宮先輩が、実は性格最悪だったとしたら……」
「……あの顔なら、イケる」
「でしょ!?」
「むしろ可愛くない?あんな顔いいのに、性格に難ありって!」
「ムカつくことはあっても、憎めないよね!」
あず兄の性格が、ダメダメだったら……。
うん、まったく可愛くない。
私なら容赦なく、お前何やってんの、って怒るね。
イケメンだからって調子乗らないでほしいもん。



