絶対領域





きゃっきゃっと騒ぐ3人に、1人の女の子が「えっ」とびっくりする。




「噂の“天使”と“悪魔”って、男子なの!?」


「知らなかったの?」


「えー!知らなかったー!てか、実在するって初めて知った!」


「まあ、絶対ではないけどね。半分妄想だよ、妄想」


「でも、皆言ってるよね」


「天使と悪魔の噂って、大抵物騒だったり、暴走族とか極道とか絡んでたりするし」


「天使も悪魔も、すっごく強いらしいしね。これで正体が女子だったらやばくない?」


「それに、いろんな噂が流れてるのに、実在してませんでした、ってオチじゃつまんないじゃん」




一般人である普通の学生が、噂の確認を取れるわけない。


しょせん、空想論。

それでも、立派なネタだ。



答え合わせなんか、必要ない。


彼女たちにとっての正解は、より面白いほうなのだから。




「あたし、天使に会ってみたーい!」


「イケメンだよね、きっと!」


「天使の噂って少ないけど、誰かを助けたり、悪い奴をやっつけたりしてるのばっかりだよね。それでイケメンだったら、もうやばい!好きになっちゃう!」


「正義のヒーローみたいだよね!」


「いやいや、白馬の王子様でしょ」




想像するだけなら、タダ。

誰も咎められない。



女の子は、イケメンが好きだね。


あ、もちろん、私も好き。