絶対領域





あず兄は告白されるかもしれない状況なのに、照れたりかっこつけたりすることなく、ただただ真剣に私を正視していた。



あず兄も、強情だよね。

私と同じで。



「……私がここにいていいかは、その子が決めることだよ」



観念して、遠回しに同意した。


あず兄は私から手を放すことなく、女の子に尋ねた。



「こいつもいて平気か?」


「は、はい、大丈夫……です」



ごめんね、本当は大丈夫じゃないよね。

私の存在、迷惑だよね。私が一番わかってる。


気まずいったらない。




「……で、俺に伝えたいことって?」


「あ、えっと、その……わ、私……!」



よりいっそう頬を赤らめて、喉の奥から声を絞り出す。


唇も指も震えていて、それでも精一杯勇気を出して、気持ちを紡いだ。




「花宮先輩のことが、好きです!」





どうして。

私が、泣きそうになってるんだろう。