絶対領域





ここに堂々と居座って、告白を聞いてるような悪趣味は、私にはない。


結果はあとであず兄本人から聞くとしよう。



気を利かせて、あず兄の前を通る。


寸前、パシッと右腕を掴まれた。



「……え?」



あ、あず兄?

何してるの?


あず兄の左手によって、否応なく歩くのをやめた。



「行くな。ここにいろ」


「は?」



い、いやいや、何言ってるの!?


凛々しい顔で引き留められても困るよ!



「あ、あず兄、この状況わかってる?」


「ああ」


「嘘つけ!!」



わかってたら、私の腕を掴んだりしない。


告白だよ?たぶんあず兄、告白されるよ?

あず兄かっこいいから、たくさん経験あるでしょ?



それを察した上で、引き留めてるの?


だったらバカだよ?




「あず兄、離して?」


「……行くな。そばで待ってろ」



右腕を握る力が、ぎゅっと強められた。