西校が見えてきた。
いつもの高校。
……とは、雰囲気が異なって。
文化祭らしく派手やかに、校舎や校門が飾り付けされている。
あぁ、本当に明日なんだなぁ。
ちょっと胃が痛くなってきたかも。
早くも緊張しながら、校門前を通り過ぎようとしたら。
「あ、あの!」
高めの声を投げかけられた。
あず兄と共に足を止めて、声のした校門側に振り向く。
「は、花宮先輩に、伝えたいことがあって……っ」
校門前には、一人の女の子が顔を真っ赤にして、俯きがちにあず兄を見つめていた。
登校中の他の生徒が、ジロジロと好奇の目でこちらを見ながら、ゆっくり横切っていく。
こ、これは……。
もしかしなくても、告白、だよね?
女の子は、あず兄が来るのを、ここでずっと待っていたんだろうな。
あず兄と女の子を順に一瞥してから、軽く息をついた。
生の告白現場はものすごく興味あるけど、さすがにお邪魔だよね。
「えっと……わ、私、先に行ってるね」



