絶対領域





2人の励ましで、さらに不安になってきた。

文化祭、無事に成功したらいいけど……。



もし明日、暴走族の怖さをお披露目するようなことが起きたら、どうしよう。


自分のことだけじゃなく、神亀の心配まで増えてしまった。とほほ。





「あ、じゃあ、俺こっちだから」



通学路の途中の分かれ道。

中学生のせーちゃんとは、ここでお別れ。




「また放課後ね、姉ちゃん!」


「うんまたね」


「あずき兄さん、姉ちゃんを教室までしっかり送り届けろよ!」


「わーってるよ」




あず兄に厳しく念を押してから、せーちゃんは大きく手を振って中学へ向かった。


この会話も毎日の日課だ。



私とあず兄の2人で、西校を目指す。




また放課後ね、って言うことは。


「今日の下校は、せーちゃんと?」


ってことだよね?



「ああ。俺は文化祭準備で遅くなるかもしれねぇから、今日は世奈と2人で帰れよ」


「はーい」



せーちゃんと2人きり、か。

久し振りだな。




「……そこは、俺も一緒がよかった、とかわがままを言ってほしかった……」


「え?何か言った?」


「いや、別に」



なんでちょっとしょんぼりしてるの?

意味わかんない。