それで、いい。

どれも間違っていないし、どれもふさわしい。



どれであっても、私たちが友達であることは、変わらない。




暴走族も学校も違っていても、一緒に笑って、はしゃいでいたい。


これからも、ずっと。




――そう、願っていた。





けれど、近い未来。

この西側の倉庫で散らされるのは、争いの火花。



神亀と双雷が対立する予感など、今の私に在るはずもなかった。








皆で線香花火をしている風景を傍観しているオリに、一番に線香花火が終わってしまったオウサマが声をかけた。



「結局ユーは、ただのひとつも花火をしなかったな」


「別にいいだろ」



オリは、表情を一切変えない。



ハイトーンブルージュの長い前髪の隙間から、あらわになる視界。

ポトリと落ちた線香花火と、がっかりした私の横顔が、不明瞭に映っていた。



オウサマはそれを察しながらも、あえて詮索せずに、ヘアピンを留め直すだけだった。



「永遠に今日の如く平和な日常を過ごしていたいが……そうもいかぬ」



ピクリと反応したオリが、ようやくオウサマのほうを見た。



「どうやら“あやつら”が動いているらしい」


「……そう、か」


「気を付けねばならぬな」



ああ、とほのかに苦々しく返事をされ、オウサマも顔を歪めた。



オリの視線は再び私を捕まえる。

一方的通行な時ほど、気づかない。




心臓の焦げ目をいくら繕っても、こんなにも焦がれてしまっているのに。