絶対領域





姉ちゃん、待ってて!

今、行くから!!





細い路地に入り、姉ちゃんの元に向かう。


懸命に手足を振り、駆けていく。





「♪~~♪~~」




……なんだ?

遠くからうっすらと、何か聴こえる。


あれは、声?


違う、誰かの歌だ。



メロディーのみ奏でた、綺麗なソプラノに惹かれると同時に、謎が生まれる。



一体誰が歌ってるんだ?


この路地の先には、さっきのガラの悪い連中と姉ちゃんしかいないはず……。




「♪~~♪~~」

「っ、うぐぁ……!」



「……え?」




歌声と共に、俺を『クソガキ』と罵った不良が、こちらに吹っ飛んできた。


反射的に避ける。



不良はそのまま地面に転がり、ぐったりと伸び切ってしまった。