絶対領域






「あの女一人残して逃げたのかよ!だっせー!」


「おや、また雑音が……」


「う、嘘です!すんません!」



説明し終えたタイミングで、早速暴言を吐いた蘭次郎に、凰の手が再び伸びる。


が、今度は耳を引きちぎられる前に、蘭次郎が反省した。



人はこうやって学ぶのだ。




「ユカは僕のそばを離れちゃダメだよぉ?僕が、ユカもモエモエも守ってあげるからね~」


「……ぼ、僕も、戦える。ま、まも、守ってもらうのは、卒業した、んだ」


「ユカは変わらなくていいんだよ~」



悠也は、紫の頬に触れて、洗脳するみたいに何度も同じ言葉を繰り返す。



「無駄話してないで行くぞ」


慎士兄さんに会話を割り込まれてムッとする悠也をよそに、紫は真っ青な顔で悠也から離れた。




仲間と合流して、説明もした。

あとは、助けに戻るだけだ!



「俺たちはあっちから、双雷はこっちから行って挟み撃ちしよう」



万さんの即席の作戦に、全員で気合いの入った声を上げる。


そして、一斉に走り出した。