絶対領域




一緒、だったんだ。

今も一緒のはずだったんだ!


せっかく冷えてきた頭に、また血が上り始める。




「姉ちゃんは、今……っ」



やばい。

俺、今、たぶんすんげぇみっともねぇ顔してる。


こんな無様な姿を気に食わない奴らに見せたくなくて、咄嗟に俯いた。



ギリ、と唇を噛みしめる。


わずかに滲む血の味に、また鼓動が軋んだ。




「……何か、あったのか」


「っ!」



思わず、顔を上げてしまった。


緋織、って名前だったか。

なんであいつに、すぐ気づかれたんだろう。


緋織は、水を溶かしたような色の前髪から覗かせた眼で、俺の答えを急かす。




何かあったどころじゃねぇよ。


元はといえば、翠が……お前らが、姉ちゃんを新人いびりに巻き込んだせいで……っ!