絶対領域






「……あれ?」



後方から、間の抜けた声がした。

まだ記憶に新しい、嫌な声。



反射的に振り返れば、やはり、あいつらがいた。



「奇遇だな。こんなところで何してるの?神亀のお2人さん」


「そっちこそ勢ぞろいじゃねぇか、双雷の皆さん」



昨日自己紹介した双雷の面々を引き連れてる翠に、あずき兄さんが刺々しく返答する。


今は姉ちゃんのことでいっぱいいっぱいなのに、なんでこんな時にこいつらと会っちまうんだ……!



「学校帰りなんだ。これからたまり場に向かうところ」


「あっそ。だったらさっさと行きやがれ!」


「……ところでさ、萌奈は一緒じゃないの?」



しっしっと追い払おうとする俺を無視して、翠はキョロキョロ辺りを見渡した。



萌奈、なんて。

気軽に呼んでんじゃねぇよ、チビ。


そう、歯向かうことすらできないくらい、心臓がズキズキ痛む。