純真~こじらせ初恋の攻略法~

ちょっと待って。

本当に待って。

本気で待って。

普通に考えて、この状況はありえないから。

私の初カレで、いろいろあって別れて12年?

今まで音沙汰もなく、何の繋がりもなかった彼と、長い年月を経て転職を機に再会。

優しかった彼は別人のように冷たくなっていて……。

なにこれ。

ドラマじゃあるまいし、こんな展開ありえないでしょ?

彼が……藤瀬真斗がこの会社のエースで、私は彼のアシスタント?

なんの冗談なのよ。

「よろしく……お願いします」

絞り出すように返した私を藤瀬くんは一見して、カバンの中から書類の入ったクリアファイルを取り出した。

「これ、今から橘さんと二人でやる案件。目を通しといて」

差し出されたのは手でもないのに、それを取るのに酷く戸惑ってしまった。

「早々に仕事放棄ですか?」

ニヤリと笑ってそう言われ、私は思わずひったくるようにファイルを受け取った。

「もちろんやらせていただきます」

「はい、よろしくどーぞ」

そう言ってデスクのパソコンを立ち上げ、完全に仕事モードに入ってしまった藤瀬くんを、私は暫くぼんやりと眺めてしまった。