私の視界に入っているだけでも、数名の生徒が涙を流している。
本来は涙もろい私だから、通常ならば号泣しているかもしれない。
けれど今の私は卒業式に浸りきることができなかった。
卒業式後のホームルームが終わったら、私は藤瀬くんと話そうと思っていたからだ。
朝のホームルームに遅刻ギリギリにやってきた藤瀬くんの周りには、引っ越しを知った友達が彼を囲み、私の入るスキなんてなかった。
藤瀬くんが私を気にしていることもわかっていたけれど、短時間で簡単に終わらせられる話ではない。
しっかりと終わらせるためにも、ゆっくりとした時間が必要なのだ。
そう考えた私は、藤瀬くんの机の中に彼を呼び出すため小さなメモを忍ばせることにした。
グラウンドに並ぶ桜の一番端の下。
そこが私達の終わりの場所になる。
式も終わり教室でのホームルームも進み、とうとうクラスの皆とのお別れの時間がやってきた。
たくさんの別れの言葉も、なんだか全て軽い言葉に思えてしまう。
それもそのはず。
私は今から、大好きな人に本当のサヨナラをしなければならないのだから。
離れたくなくても、縋りつきたくても。
百パーセントの心で信じられなければ、私の心が壊れてしまう。
由加里の言葉で信じる気持ちを折られてしまった私にとって、この選択しかできなかった自分を子どもだと思いながらも。
私は心の保身を選んだのだ。
本来は涙もろい私だから、通常ならば号泣しているかもしれない。
けれど今の私は卒業式に浸りきることができなかった。
卒業式後のホームルームが終わったら、私は藤瀬くんと話そうと思っていたからだ。
朝のホームルームに遅刻ギリギリにやってきた藤瀬くんの周りには、引っ越しを知った友達が彼を囲み、私の入るスキなんてなかった。
藤瀬くんが私を気にしていることもわかっていたけれど、短時間で簡単に終わらせられる話ではない。
しっかりと終わらせるためにも、ゆっくりとした時間が必要なのだ。
そう考えた私は、藤瀬くんの机の中に彼を呼び出すため小さなメモを忍ばせることにした。
グラウンドに並ぶ桜の一番端の下。
そこが私達の終わりの場所になる。
式も終わり教室でのホームルームも進み、とうとうクラスの皆とのお別れの時間がやってきた。
たくさんの別れの言葉も、なんだか全て軽い言葉に思えてしまう。
それもそのはず。
私は今から、大好きな人に本当のサヨナラをしなければならないのだから。
離れたくなくても、縋りつきたくても。
百パーセントの心で信じられなければ、私の心が壊れてしまう。
由加里の言葉で信じる気持ちを折られてしまった私にとって、この選択しかできなかった自分を子どもだと思いながらも。
私は心の保身を選んだのだ。


