純真~こじらせ初恋の攻略法~

青くなった私の顔色を見て、由加里は大げさに『しまった』というようなリアクションをして見せる。

「ごめんごめん。藤瀬くん……だった」

肩を竦めて笑う由加里を睨みつけると、彼女はあろうことか私をフッと鼻で笑った。

その表情が妙に癪に障る。

この女は私に何が言いたいんだろう。

「なにか言いたいことがあるならハッキリ言えば?」

普段では絶対にしない攻撃的な言い方で、由加里を煽ってしまった。

そんな私の態度に腹を立てると思いきや、由加里は面白そうに笑って口を開いた。

「茉莉香さぁ。真斗が引っ越ししても付きあい続けるつもり?」

「そんなこと由加里に関係ないじゃん」

「それが関係ないこともないんだよねぇ」

あまりにも不快な物言いに、私は黙って強い視線を投げかけた。

「真斗、卒業式の当日に引っ越すんだってさ。私と一緒だねって話したの」

由加里は市外の高校に通うため、寮生活をすると聞いたような気がする。

だけれどそれが何だっていうのか。

イライラしながらも黙っていると、由加里は「あのね」と言葉を溜めがちに続けた。

「こんなこと茉莉香に言うのは酷かもしれないんだけど……」

「……」

ここで言葉を切るあたり、本気で酷だなんて思っているはずがない。

「真斗の特別な女って、茉莉香だけじゃないんだなぁ」

「は……?」

見開いた私の目の先には、胸糞悪いほど嫌味な笑いをしている由加里がいた。