純真~こじらせ初恋の攻略法~

どういえば藤瀬くんに伝わるだろう。

『大変だったね』『辛かったね』『今と昔は違うよ』

思いつく言葉はたくさんあるけれど、どれも軽々しくは言えなかった。

けれど藤瀬くんには壁を越えてほしいから。

「一緒に行こう」

私が力強く言うと、藤瀬くんは困惑したように何度か瞬きをした。

「俺の話、聞いてた?」

「もちろん、ちゃんと聞いてたよ。だから一緒に行こうって言ってるの」

このまま塞いでいてはだめだ。

過去があるから今があるのだから、私は堂々と参加してほしい。

「私が会いたいのは今現在頑張ってるみんななの。私はそこに藤瀬くんと一緒に行きたい。今の藤瀬くんを、みんなに見てほしい」

もう一度、関係を築き直すお手伝いというと大袈裟かもしれないが、一人で行かないのなら、私と一緒に行って欲しい。

「18時に駅まで迎えに行くから。忘れないでね?」

「いや、ちょっと……」

「前日にまた確認するけど、仕事は大丈夫だから。約束だからね?」

「ちょ……茉莉香……」

何かを言われる前に話を打ち切っておこう。

強引だろうが無理やりだろうが関係ない。

どんどん私が引きずってやる。

「じゃ、仕事に戻りまーす」

まだ何か言いたげな藤瀬くんには築かないふりをして、私は早々にその場を離れた。

過去は戻らないけれど、未来はこれから作り上げる事ができる。

私は今の藤瀬くんと、これからの未来を夢見たい。

藤瀬くんの過去を知れたことで、私は大きく変われそうな気がした。