純真~こじらせ初恋の攻略法~

既読がついているのだから、藤瀬くんが私のメッセージを読んだことは間違いない。

どういう意図で返信もくれず、グループに参加もしなかったのか。

普通の男女のメッセージのやり取りならば、かなり重たい女に思われることだろう。

しかし今回は事が事だけに、そこはちゃんと聞いてもいいんじゃないだろうか。

「見た」

短くそう答える表情に、懐かしさを共有する気持ちは一切窺えない。

藤瀬くんは長い足を組んで腕組をし、じっと私を見据える。

「誰かから、先に連絡来てた?」

ここで由加里の名前でも出てこようものなら、きっと立ち直れなくなるほど心が折れるに決まってる。

けれど聞かずにはいられなかった。

しかし藤瀬くんの返事は簡潔で、「来ない」の一言だけだった。

ホッと安堵の溜め息が漏れたが、心の中にある一番の疑問が『早く俺をぶつけろ』と私を急かす。

「詳細送ったでしょ?ちょうど仕事も重なってる納期が明けて、落ち着く時期にもなることだし、行くよね?」

私が藤瀬くんのアシスタントである以上、仕事が忙しいなんて言葉は使えない。

彼のスケジュール管理も私の仕事の内だからだ。

同窓会予定日の週は、今のところお得意様の自宅のお庭一件しか請け負っていない。

珍しくのんびりとした一週間なのだ。

「大丈夫だよね?」

なかなか返事をしない藤瀬くんに再度問いかけると、彼は大きくて深い溜め息をついた。

「いや、俺は欠席するつもり」

そう言った藤瀬くんの瞳には、少しだけ切ない色が混ざっているように見えた。