純真~こじらせ初恋の攻略法~

もしも奈緒の言うとおり、同級生の誰も藤瀬くんの連絡先を知らないというのなら。

今の私は藤瀬くんの連絡先を知っている、唯一の人物なのではないだろうか。

電話番号もアドレスも、SNSのIDも。

私は全て直接藤瀬くんに教えてもらった。

そうだよ。

知ってるんだから、わざわざタイミングを計ったりなどしなくても、SNSで聞いちゃえばいいじゃないか。

そっちの方が私的にも気が楽だし。

由加里から聞いていた、なんて余計な情報も知るリスクは減る。

うん、それは一番いいアイデアだ。

私は早速仕事を終えて家に帰りつくと、藤瀬くんにメッセージを送った。

同窓会の詳細と、出欠の要請、グループの招待。

もちろん『他の人に聞いていたらごめんなさい』という一言も忘れずに。

しかしそのメッセージは既読にはなったものの、遅くまで待ってはみたがその日に返信されることはなかった。

翌朝、会社に着き藤瀬くんを探してみるが、どうやらまだ来てはいないようだ。

主のいないデスクを見つめ、もしかしたら藤瀬くんは、あえてこの話に触れないのだろうか、そんなことを思う。

返事も来ない、グループに参加もしないでは、そうとしか考えられない。

やっぱりメッセージすんじゃななかった……。

「面倒くさい……」

デスクに突っ伏し呟いた途端。

「それは俺のセリフ」

頭の上から声がし、勢いよく起き上がると、そこには仏頂面した藤瀬くんが立っていた。

「おはよう……」

ぎこちない笑顔を向けると、藤瀬くんは自分のデスクに荷物を置きながら「おはよ」と短く返してくれた。