純真~こじらせ初恋の攻略法~

こんなに素直に謝られるなんて思ってなかった私は、とても驚いてしまった。

いつまでも頭を上げようとしないところを見ると、私が許すまでこのままでいるつもりなのだろう。

そんなの狡いよ。

「すっごく腹立った」

「ごめん」

「絶対許さないって思った」

「許してほしい」

「何でそんなこと言われなきゃいけないのかって、悲しくなった」

「本当にごめん」

何度も謝る藤瀬くんを見て、私は深い溜め息をつく。

再会してからは怒られてばっかりで、すっかり意地悪になったなと思ったこともあった。

けれどこういうふうに真っ直ぐに謝罪できるところ。

ここは昔と全然変わってない。

「本当に悪いと思ってるなら顔上げて」

「許してくれるか?」

「仕方ないもの」

本当は顔を見た瞬間に許してたなんて、絶対に言えないけれど。

「コーヒー、冷めちゃう」

藤瀬くんにまだ温かいコーヒーを手渡すと、「私も、仕事放棄してごめんなさい」と頭を下げた。

「帰って来てくれてありがとう」

私達は二人で微笑みあって、無事に納期を迎えた。