純真~こじらせ初恋の攻略法~

会社から一番近いコンビニでホットコーヒーを買い、まだ熱いうちに会社へと戻る。

ドアを開けるのに戸惑いから、なかなか開く事ができない。

自分から出て行ってしまった手前、どんな顔して戻ればいいのかわからない。

全てなかったことにして明るく戻るか?

いや、そんなの私がバカみたいじゃないか。

ぶすっとふてくされて戻るか。

いや、それも大人げなさすぎる。

ならばもう、普通にするしかないじゃないか。

めちゃくちゃ不本意だけど、それが一番大人の対応のような気がする。

大きく二度深呼吸をして、私は会社のドアを勢いよく開けた。

フロアに戻ると、藤瀬くんは心底驚いた表情で立ち上がった。

私が戻ってくるなんて、想像だにしなかったのだろう。

「茉莉香……」

情けない顔で呟くと、私に駆け寄り抱きしめようと腕を伸ばす。

「だめっ!」

咄嗟にあげた声が拒絶したように聞こえたのだろう。

藤瀬くんはピタリと止まり、傷付いた様な瞳で私を見つめた。

「あ……コーヒー、零れちゃうから」

慌ててそう言い、袋に入ったカップのコーヒーを掲げると、藤瀬くんは少しホッとしたように息をついた。

そして「さっきはごめん」と私に深々と頭を下げた。