純真~こじらせ初恋の攻略法~

せっかくいいムードになってたっていうのに。

いったいあの男は何考えているんだろう。

何が『こなれてる』だ。

そんなことを言われて、あれ以上藤瀬くんを求めるなんて、できるはずないじゃないか。

「マジでふざけんじゃないわよ」

藤瀬くんとの恋愛が終わってしまったから、私は新たな恋愛をしてきたわけで。

そりゃ、誰と付き合っても上手くはいかなかったけれど、私だって好きで経験値を上げたわけじゃない。

男性が信用できず、期待をすることもなく、妙に冷めた恋愛をしてきてしまったのは、藤瀬くんのせいだというのに。

恋愛も経験の最初も最後も、全て藤瀬くんだったらよかった。

そんなこと、私が一番思ってる。

なのに、それをアンタが言うんじゃないわよ。

ずかずかと力任せに歩く私の手には、バッグも何も持ってはいない。

怒りに任せて出てきたので、ジャケットの中にあるスマホ以外は全て置いてきてしまった。

「……なんか冷めるわ……」

こんな時に格好よく家にも帰れないなんて。

強制的に冷静にさせられ、あの場に戻らないといけないなんて。

「カッコわる……」

しかし私はなんだかんだで残業中で、納期は明日。

仕事を放棄できない以上、結局は戻らなくてはいけないわけで。

「戻ろ」

腹ただしいけれど、冷静になるためにもコンビニでコーヒーでも買って帰ろう。

スマホだけでも持っててよかった。

溜め息をつきながら、私はゆっくりとコンビニへ向かった。