始めは昔の裏切りが原因で、藤瀬くんを拒み距離を取っていた。
けれど谷脇さんとの一件以来、自分の気持ちを認めて素直になるように心がけてきた。
その私の変わりように藤瀬くんも始めは戸惑っていたけれど、今では昔のように自然に接する事ができるようになってきたところだった。
なのに今回のことがあって、しかもこんなふうに、どさくさ紛れに抱きついちゃうなんて。
藤瀬くんはいったいどう思っただろうか。
もしかしたら私の気持ちなんて、手に取るようにわかているのかもしれない。
この固まってしまっている藤瀬くんの身体が、彼の心と比例しているかもしれない。
だとしたら、いったい私はどうすればいいのだろう。
自分で作り上げてしまった、この何ともぎこちない状況に、押すことも引くこともできなくなってしまった。
「茉莉香……」
沈黙を先に破ってくれたのは、やはり藤瀬くんの方からだった。
黙って藤瀬くんの胸に顔を埋めているだけの私の背中に、彼はまた手を掛けてくれる。
「さっきから名前呼んでも名字訂正してこないし、妙に甘えてきてくれてるけど……。もう無関係だって冷たく言われて突き放されないまでには出世したと思っていいわけ?」
本当は藤瀬くんのことを無関係だなんて思ったことは一度もない。
最初から。
出会った時から今まで、藤瀬くんは私にとって、ずっと特別な存在だったのだから。
私は藤瀬くんの胸の中で、小さく二度頷いた。
けれど谷脇さんとの一件以来、自分の気持ちを認めて素直になるように心がけてきた。
その私の変わりように藤瀬くんも始めは戸惑っていたけれど、今では昔のように自然に接する事ができるようになってきたところだった。
なのに今回のことがあって、しかもこんなふうに、どさくさ紛れに抱きついちゃうなんて。
藤瀬くんはいったいどう思っただろうか。
もしかしたら私の気持ちなんて、手に取るようにわかているのかもしれない。
この固まってしまっている藤瀬くんの身体が、彼の心と比例しているかもしれない。
だとしたら、いったい私はどうすればいいのだろう。
自分で作り上げてしまった、この何ともぎこちない状況に、押すことも引くこともできなくなってしまった。
「茉莉香……」
沈黙を先に破ってくれたのは、やはり藤瀬くんの方からだった。
黙って藤瀬くんの胸に顔を埋めているだけの私の背中に、彼はまた手を掛けてくれる。
「さっきから名前呼んでも名字訂正してこないし、妙に甘えてきてくれてるけど……。もう無関係だって冷たく言われて突き放されないまでには出世したと思っていいわけ?」
本当は藤瀬くんのことを無関係だなんて思ったことは一度もない。
最初から。
出会った時から今まで、藤瀬くんは私にとって、ずっと特別な存在だったのだから。
私は藤瀬くんの胸の中で、小さく二度頷いた。


