純真~こじらせ初恋の攻略法~

どこまでも優しい彼に付け込んで甘えてはだめだ。

付け入りたくなる気持ちを必死に堪え、私は藤瀬くんを見上げてぎこちない笑顔を見せた。

「どうして謝るの?こんなところで待っててくれたのに」

どん底の気分だった私が藤瀬くんの姿を見た時、どれだけ嬉しかったことか。

きっと彼にはわからないだろう。

「だってさ。茉莉香が泣いてたのに、俺はそばにいてやることができなかっただろ。湯川の暴走だって止めてやれなかった」

「でも泊りになったって知ってから、ずっと連絡くれてたでしょ?私の涙が止まるまで、ずっと付き合ってくれたじゃない。今だって、まさかここに来てくれてるなんて思いもしなかった」

私の心に想いが募ってしまうようなこと、たくさんしてくれたじゃないか。

本当ならば『ごめん』は私が、藤瀬くんに伝えなくてはならない言葉なのだ。

「藤瀬くんがごめんなんて言わないで欲しい。それは心配かけた私の言葉よ。前に藤瀬くんが私に危機感がないって教えてくれたのに、また同じこと繰り返しちゃったんだもん」

自分のバカさ加減が嫌になる。

助けてもらうばっかりで、自分では何もできないのだから。

あまりにも情けなくて、また涙が出そうになるのを必死で耐えた。

それを感じてくれたのか、藤瀬くんは私の頭にポンと手のひらを乗せると、「無事に帰って来てくれてありがとう」なんて言葉を投げかけてくれる。

そんな言葉を言われちゃったら、もう我慢なんてできるわけがない。

「『ありがとう』も私のセリフ……」と呟くと、私は再び藤瀬くんに抱きついた。