4月になって、そこらかしこに桜の花が咲き誇る。

「見て、見て」

美優が大きな目を見開いて指を指す先には、大きなシャボン玉が雲一つない空へゆっくりと上がっていった。

「おっきぃの出来たぁ~!」

ガッツポーズを決めて、空を指さしながらぴょんぴょんと飛び跳ねる美優は年上とは思えないほど可愛らしかった。
思わず目を細める。

川沿いの公園ではレジャーシートを敷いた上に、はるなと綾乃とシーズンズとTHREEの数人の女の子がのんびりと座っていた。
その横で高橋を含む数人の黒服が忙しそうに火をおこしている。

わたしは携帯を向け、シャボン玉で遊ぶ美優をカメラで何枚もおさめた。

今日は店休。

THREEとシーズンズが合同でお花見をしている。
企画は高橋で、わたしや美優がTHREEに移動になったので、シーズンズと合同でこうやって度々イベントが行われるようになった。今まではお店自体でこういったイベントが行われる事はあったようだが、合同で行われるのは初めてらしい。

美優と2人川沿いに腰をおろし、綾乃たちに向かって携帯のカメラを向ける。

「ふぅ~!!やっぱお昼に遊ぶのは気持ちいーねー!
太陽さーんって感じ」

「美優ちゃんはいつも元気だね」

「皆は夜の住人だから~、朝はほんと元気な~い!」

美優がシャボン玉をふーっと吹くと空にまばらにシャボン玉が飛んで行った。