「あっ、自分で取りに行けよー」

「いいじゃないのよ、また取りに行けばいい訳なんだからー」

「まあまあ」

私と日生の間に芽実が入ってきた。

「日生は就職の方はどうなってる?

もう始まってるんでしょ?」

そう聞いてきた芽実に、
「まあ、ボチボチって言うところだな」

日生は答えた。

「まだ時間はあるんだし、ゆっくりと決めればいいよ」

「んー」

そう言った芽実に、日生は一言だけ返事を返したのだった。

「ねえ、日生はこっちに就職する予定とかある?」

そう聞いた私に、
「えっ、何で?」

芽実は訳がわからないと言うように聞き返した。

「えっ、『葉月出版社』に俺のことを紹介してくれるの?」

「コラ」

身を乗り出してきた日生を芽実はたしなめた。