「やっときた!」

「遅いよ、日生!」

弟である佃日生(ツクダヒナセ)に向かって私たちは声をかけた。

彼は21歳の大学3年生だ。

日生は私たちの前に到着すると、
「ここ、すっごい人が多いんだもん。

全然前に進めなかった」
と、やれやれと息を吐いた。

「この時間帯はラッシュのピークだからねえ」

苦笑いをした芽実に、
「歩くだけでも大変だったし、人が多いから余計に暑いし」

日生はジーンズのポケットからハンカチを取り出すと、汗を拭った。

「それじゃあ、3姉弟が全員集合した訳だし…向かいますか!」

そう声をかけた私に、
「よし、向かおう!」

「早くビール飲みたい!」

芽実と日生は声をあげたのだった。