「陽葵ちゃーん!」

芽実の声が聞こえたので私は振り返った。

「あ、やっときた!」

「ごめん、遅くなっちゃった!」

芽実はネイビーの夏用のスーツに水色のシャツと、とても夏らしい格好をしてた。

私と違って会社勤務しているので肩まであるロングヘアーは今日は高い位置で1つにまとめられていた。

「私も今きたばっかりだから」

そう返事をした私に、
「よかったー」

芽実はホッとしたように言った。

「日生はまだきてないの?」

芽実が周りを見回しながら私に聞いてきた。

「もうそろそろでくるとは思うんだけど…」

私がそう呟いたら、
「おーい!」

声が聞こえたので視線を向けると、こちらに向かって駆けつけてくる黒髪の男がいた。