無事に孝太郎が退院したあと、凪美子は武尊がまだ就職が決まってないことを知る。
「僕はそんなに頼りないですか?」武尊の言葉が頭を霞める。
息子の件でもまだ、お礼が言えていない、そして誤解を解きたいと思った凪美子は、ある所へ向かった。
平年を上回る気温上昇、まだまだ昼間は暑かった。
秋の合同説明会場に武尊はいた。
以前から就活はしていたものの、なかなか内定をもらうことが出来なかった。
理由は分かっていた。バイトに明け暮れ本気で臨んでいなかったし、されてもいない親の期待に応えようと、闇雲に大手企業ばかり狙っていたから。
――本当に自分のやりたいことって何だろう。
色々考えながら、会場を歩き回っていると、知らない無名の会社のブースに辿り着く。
看板を見ると、出来て間もない広告代理、
〝 B.A.B 〟
B.A.B株式会社と書いてある。
導かれるまま武尊は入っていった。
その企業は、ひとえに広告代理店と言っても、広告媒体の中でも、インターネットに特化しているという。
名前は〝 B.A. B〟と略されているが、正式名称は、
〝 Become A Bridge. 〟 架け橋になる。



