病院の外では、武尊を追い掛け、大声で呼び止める文利。
「武尊! 待てって!!」
袖を強く掴み、強引に引き留めた。
「お前、何だあの態度、感謝されたくて目者捜ししてたのか? 下心ありきか! そなら最低だな!」
勢いよく放つ文利。何も言わず、体を掻く素振りを見せる武尊。
陽射しの中、走り回って日焼けした⁉浅黒くなった武尊を見て、しかも汗だくで体を掻く仕草に、少し汚らしく思った文利は、
「お前ちゃんと風呂入ってんのか⁉」
思わず本音を言ってしまった。
「お前最低だな……」
こんな言葉を言わせた文利にも、自分にも嫌気がさした。
言ったあと、文利から離れて行った武尊。その背中を睨み付けながら見送る文利。
武尊は歩きながら、文利の言動を思い返す。
なぜ彼が、自分を敵視するようになったかを考えた。
確かに人を見下すような発言は以前からあったが、ここ最近は酷過ぎる。
それにやたらと凪美子と自分の関係を気にするような言動、自分が凪美子と距離を縮める度、必ず文利が現れた。
――まさか!! 文利は本気で凪美さんを⁉
やっと文利の気持ちに気が付いた武尊。
ならば尚のこと、文利には負けられない!
また凪美子が自分と一緒にいたことを後悔、恥かしく思わないでいてほしい。
そのため今度は本気で就活に励む武尊。



