武尊は話を詰めて、その動画を証拠として警察に提出してほしいとお願いすると、快く受け入れてくれ、
「何かあれば証人にもなる!」とまで言ってくれた。
「初めての子供だったとは言え、人の生死に関わる重大なことに背を向けてしまってホントに申し訳ない」彼は何度も謝って来た。
武尊も恐縮し、同じように何度も感謝した。
そのことを、武尊は文利に報告すると、文利は、すぐに凪美子に知らせた。
「やっと目撃見つけました! その時の証拠もあるそうです!」
文利は、鬼の首を取ったかのように自慢げに言った。
はじめは、何の話か分からなかった凪美子だったが、冷静になるにつれ、文利の言葉が胸に浸透し、息子の回復とダブルで喜びが込み上げた。文利には何度も感謝した。
それから、事故の件はとんとん拍子に解決をした。
孝太郎が退院する間近になり、やっと文利は武尊に孝太郎のことを話した。
凪美子が、孝太郎の回復で元気を取り戻したと聞き、武尊は深く安堵感を覚え、嬉しさのあまり涙が込み上げた。



