彼女のセカンドライフ

そこへ汗だくの武尊がやって来た。

その姿を見るなり文利は驚いたものの、就活でもしてるんだろうと思った。

「お前何考えてんだ? 蓮見さんの気持ちも考えろよ! お前が来ても意味がないようなこと言ってたけど、あれ本心じゃないぞ?」

文利が善良な人間ぶって放った。

「分かってるよ、今僕に出来ることをやってるだけだから」

落ち着いて答える武尊。

「出来ることってなんだよ! せいぜい就活くらいだろ!」

「それもそうだけど、事故の目撃者捜しとか情報収集してる」

それを聞いた文利は、一瞬嫉妬に似た感覚に陥った。

自分には思い付かなかった考えだったから。

その後すぐに自分も手伝うと言い出した。凪美子に良い所を見せるために。

「ありがとう」

武尊は人手が増えたことに素直に喜んだ。

今の状況を武尊から詳しく聞き出し、その足で凪美子のいる病室に向かい伝えた。

ただし、武尊と一緒に目撃者捜しをしているとは言わず。