ある日、いつものように、事故現場で汗と泥にまみれながら、手掛かりを探していると、
「何かお探しですか?」と声を掛けられた。
その声に驚き振り返ると、一人の男性が立っていた。
「知り合いの息子さんが事故に遭われて」
武尊は、手を止め、事故のことを詳しく話した。
「もしかして、蓮見孝太郎君の件ですか? 蓮見凪美子さんの息子さんです。物的証拠となるものをお探しなのですね?」
全てを分かっているかのように、語る男性。
聞くと、凪美子が雇った弁護士という。そして名刺を渡された。
岩(いわ) 路(じ)喜美夫 〝 弁護士 〟と記されている。
捜査は難航しているようだった。
凪美子の息子が、意識不明の重体というひき逃げ事件ともあって、警察も重きに置いて捜査しているようだった。
その岩路から、協力してほしいとお願いされる。
武尊は快く引き受けた。それから聞き込みの範囲を広げてみたものの、素人では手に負えない。
武尊は、どうにかして、この事故のことを世間に知ってもらいたいと考えた。
そして考えついたのがネット。



