「武尊君! 体の具合はどうなの? 就活は上手くいってるの?」
武尊の姿に驚きながら、気持ちに余裕もないであろう状況で、武尊の体のことまで心配した凪美子。
付きっ切りで看病しているのが分かった。
「何も知らなくてごめん。凪美さんこそ、寝てないんじゃないの? 大丈夫?」
「私なら大丈夫よ。 気にしないで? 息子が成人してから一緒にいることなんてあまりなかったから……だから、バイクはくれぐれも気を付けなさいって言ってたのに!」
眠る息子にすがりながら涙を見せた、弱気な凪美子を初めて見た武尊。
彼女の息子の容態は、一週間、二週間経っても変わることはなかった。
武尊も心配で病室に足繁く通っていた。
毎日病室へ来ると、いつも息子の手に刺激を与えている、返事をしない息子に向かって毎日話しかけている、床ずれしないように、体の向きを変えてやったり、時に体を拭いたり。



