ノックをして改めて母親は、入って行った。
「母さん!」驚く武尊。
――母さん⁉
凪美子も同じように目を見開き、慌てて一礼した。武尊の母親も会釈した。
「こちら、蓮見凪美子さんと言って、僕のバイト先の社長をされてる方、で、こっちが僕の母です」
武尊は二人に互いを紹介した。
「あら、そうだったの⁉ わざわざ社長さんがお見舞いに来てくださるなんて」
母親は恐縮しながら、また頭を下げた。
「いえいえ、とんでもございません」
互いに頭を下げ合う。
「私仕事中だから、そろそろ行くわね。ゆっくり休んで?」
そう言うと凪美子は武尊の母親に、一礼して出て行った。
突然の武尊の母親登場に、さすがの凪美子も慌てた。出てすぐ扉にもたれて呼吸を整えた。
「何だかお邪魔したかしら?」
武尊の表情を伺いながら母親が言った。
「そんなことないよ?」
武尊は自然に答えた。変に動揺しない武尊を見て、母親は少し安心をした。
それから凪美子ことを色々と聞き出した。
「そうなのね。お二人も子供さんがいらっしゃるのね~何かと大変だったのね」
聞きながら武尊と彼女が、親子ほどの年の差と知る。
けれど、自分と変わらない年とは思えないほど若々しく、また大きな子供がいるなんて思えないほど、綺麗で輝いて見えた。
武尊の母親は変に感心をした。



