データ入力をしていた時のこと、猛烈に胃が痛み、その場に伏せてしまった。
周囲も驚き、慌てて武尊を病院へ連れて行った。
診断は、胃潰瘍だった。
鎮痛薬の副作用によるものとか。
この結果に、凪美子は深く反省をした。
就活しながら、学生である彼の本業以上に仕事をさせ、それでなくても、大学四年という忙しい時期に、プロジェクトを手伝わせるなんて、無謀だったと。
一日入院することになった武尊。
付き添う凪美子。
「ずっと痛かったんでしょ? 無理させてごめんね」
悲しい目で凪美子は言った。
「凪美さんのせいじゃないよ」
武尊が言うと、凪美子は目元を緩め、そっと武尊の髪を撫でた。
その時、武尊が倒れたと聞きつけた母親が、病室に入ろうとして扉を開けた時、その光景を目の当たりにする。
まさか女性が来るなんて思いもしなかった。
武尊の母親は、見つめ合う二人が特別な関係だと勘付く。



