「そうだ! あのね? 武尊君が言ってた、父のブランドを復活させる話、あれ進めよと思うの」
少し重苦しい空気を変えるべく、凪美子は武尊に話を振った。
それから武尊に手伝ってほしいと言った。
「一バイトに手伝いだなんて、無理だ」と言う武尊に、「その分の報酬は支払う!」と凪美子は言い切った。
また、「バイトだろうと何だろうと、才能があって必要な人材なら、チャンスを与えるのも当然でしょ!」と言いのけた凪美子に、武尊の心は揺さぶられた。
経営者、社長としての凪美子がそこいた。
――この人の見合うだけの男になりたい!
いつしか武尊はそう思うようになり、懸命に与えられた仕事をこなして行った。
大学にはもちろん、通いながら、精一杯、全てに打ち込み、この時、
〝 生きがい 〟を感じたかもしれない。



