別れた夫とは、いつからか狎れあい、互いに関心を持たなくなっていったのか、どちらが何をしても、気にもならなくなっていった。

子供が出来てからは、子供に精一杯で、さらにそれに拍車がかかった。

互いをないがしろにして来た結果……
 
それに引き換え武尊は、凪美子がロングヘアを数センチ切っただけでも気付く。

ネイルを変えても、軽く髪色を変えても、服装も全て、会う度褒めてくれる。

道を歩けば、さり気なく歩道側に自分を誘導する。

扉も開けて、エスコートしてくれる。

その若さでどこで覚えたのであろうか、女性の扱いを知っている。

まるで初恋のような時の感覚を、武尊は思い出させてくる。

凪美子は武尊の優しい掌で、まるで揺り籠に揺られているような、心地の良さに身を預けた。

武尊もまた、同じように、凪美子の世界に溺れていた。

家に帰ると、凪美子のことばかり思い出して、胸がくすぐったくなる。

毎日が夢心地だった。