「でも、武尊君が好きよ。凪美さんって呼ばれた時、胸がドキってしたのよ?」

凪美子が本心を言った。

武尊にはその言葉だけで十分だった。

凪美子のマンションへ遊びに行った時には、彼女の手料理を振舞ってもらったり、食べたあとの片付けを、凪美子がしていると、「僕が洗うよ」と、武尊は後ろから抱きついたり、凪美子の膝枕で甘えたり、ドライブで遠出した時は、必ず手を繋ぐ。

そして優しいキス。

彼女との日々はとても穏やかに流れた。

「凪美さん今幸せ?」

突然聞く武尊に、

「どうして?」

聞き返す凪美子。武尊は、

「子供から手が離れて、今第二の人生を生きてる凪美さんには、幸せでいてほしいから」

その答えに、凪美子は微笑みながら、「武尊君は幸せ?」と聞き返した。

すると、

「凪美さんを思うと胸が切なくなる。怖いくらい幸せだ」 武尊は言った。

武尊の言葉に凪美子は、胸がキュンとした。惜しみなく自分に愛情表現をして来る武尊が愛おしかった。