彼女のセカンドライフ


外は木々の葉が太陽に反射して、眩しかった。テーブルに置かれた、グラスの中の氷が一つ沈んだ。

「超えてはならない一線を越えようとしてるの! あなたに私の全てが背負える⁉」

互いの立場を考えてのセリフだった。

「高が年齢の壁を越えられないと言うなら、この先何も越えられやしない! 無理だ! あなたを好きな気持ちはどうしたって止められない! 僕の気持ち受け止めてよ! 一体何が気になるの? 世間体⁉ ダメな理由は何⁉」

「ダメとかじゃなくて……」

「じゃぁ何⁉ 何で追いかけて来たんだ!」

「今のままじゃ仕事だってしづらいでしょ⁉」

「そんなこと……どうでもよかったら放っておいてくれればいいのに!」

「放ってなんてできるわけ無いでしょ! それに好きだなんて言われたら尚更」

「だったら、僕と世間の集中砲火一緒に浴びてよ!」

「えっ⁉」

「僕が息子さんと変わらない年だから? 周囲に何言われるか分からないからでしょ?」
 

それを聞いて凪美子は溜息を吐いた。

「あなたのお母様だって同じように思われるはずよ」

凪美子は胸が張り裂けそうな思いで、武尊の自分への思いを踏み止まらせようとした。

「そんなの言い訳だ! 僕のこと嫌いですか!」

「そうじゃない!」

「だったら! 自分の気持ち誤魔化してるだけじゃないですか? 僕の思い上がりですか? 僕は凪美さんが好きだ! 僕が壁になって凪美さんを守るから!」

「武尊君……」

その思いはあまりにも情熱的だった。

自分も若かったら、有無なく彼を受け入れたはず。