そんな武尊を、あまり快く思わない、ある若い男性社員がいた。
 
その男性社員、村上晋平というが、入社二年目、武尊より二つ上で、仕事は、それなりにこなしていたが、出来ない仕事も安易に請け負ってしまう癖があり、最近も分からないままにして期日が過ぎ、「分からないなら、速やかに誰かにでも聞け!」と叱られ、周りに迷惑を掛けたばかりだった。  

今回も、「データを一つのファイルにまとめといて! でそれをみんなにメールで送っといて。あと、会議用の資料も作成してコピーして、それを会議室に並べる! できる?」と先輩に頼まれ、「はい」と返事をし、「ほんとに大丈夫?」と念を押され、「はい!」と勢いよく答えたものの、やはり出来そうもなかった。

要領が悪く、人と話すことが苦手で、周りとのコミュニケーションが図れず、そのせいで、仕事にも支障をきたしてしまっていた。

あがり症で、一度の説明で理解出来な時、もう一度聞き返すことが出来なかったり。