――この人は、伊達に時代の波にもまれて来たんじゃない。しかも〝 女 〟でありながら、肩肘張って、懸命に生きて来たんだな。
何かと腐ってしまう自分が恥ずかしくなった武尊だった。
それから話は武尊の大学の話になり、就活もさることながら、卒論も抱えていて、何かと大変で、とにかく毎日時間がなさ過ぎると武尊は嘆いた。
凪美子は聞いていて、懐かしさと共に、息子と重ねて、放っておけないような気持になった。
食事が終わり、武尊が払おうとしたら、
「私が誘ったんだから、私に支払わせて?」
凪美子がそう言うが、それでも払おうと武尊に、
「今度誘ってくれた時、ご馳走して?」
嫌じゃない言い方だった。
また少し凪美子に対しての好感度が上がった。
武尊は納得して、その場を凪美子に任させた。