「巷じゃ人気のパスタ屋さんなのよね、結構な頻度で来てたのに、気が付かなかったわ」
凪美子はユニフォーム姿の武尊をマジマジと見た。
「ほんとに普段は出てくることはないんですけどね……てか、ご注文は? 今~ギリランチタイムですね、どうします?」
「でももう一五時よ?ランチタイム終わっちゃってる」
「僕が通しますから、大丈夫です」
得意気に、凪美子に笑って返した。
武尊は、いくつかバイトを掛け持ちしている中で、ここでは高校生の頃からバイトしていたから、厨房も任されるようになり、ベテランになっていた。
テキパキとこなす武尊の姿を見て、凪美子は感心した。
それと同時に、度重なる偶然の出会いに、以前よりも、繋がりまで感じるようになった。
まだまだ偶然は続く。



