彼女のセカンドライフ


「どうかした?」

武尊がじっと自分の顔を見て、視線を離さない。思わず、凪美子は聞いた。

「あぁいや、何でもないです」

「そう? でも、何だか偶然とは言え、よく会うわね?」

「そうですね。でも何でわざわざ、送ってくれたりしたんですか?」

「何となく、バス停にいた英君見てたら、放っておけなくて……だから」

凪美子の言葉のあと、武尊は苦笑いして、

「そうなんですね。気を付けて運転してください」

そう言うと武尊は車を降りた。

「ありがとう」

軽く手を振り、クラクションを鳴らしたあと、去って行った。

凪美子の車に一礼し、武尊は見送った。
 
その日、凪美子の笑顔が、武尊の潜在意識の中に刻まれた。