それから、別の日のある雨の日、凪美子は取引先からの帰り道、偶然バス停で雨宿りをする武尊を見掛けた。
その様子は悲し気で、落ち込んでいるようにも見えた。
凪美子は車を回し、武尊に声を掛けた。
「英君! 乗って!」、武尊が驚いたのを尻目に、「早く!」、車の流れや信号を気にして、凪美子は武尊を急かした。
言われるまま、武尊は慌てて車に乗り込んだ。
「学校の帰り?」
「はい」
「家はどの辺?」
家の場所を説明しながら、今日は久しぶりにバイトもなく、帰ろうとしていた所、駅から出ると、雨が降り出していて、何とかバス停まで辿り着いて、雨脚が弱まるのを待っていたと、凪美子に説明した



