日は変わり、じっとりとした、湿度は高く、雨が降りそうな日だった。
凪美子の元に、文利から「会って話がしたい」と連絡をして来た。
思い詰めたような声に思われて、凪美子は会うことにした。
とあるカフェで、会って第一声、「つき合ってほしい」と告白される。
「話ってそのこと? どうして私なんかに?」
動ずることなく、文利を見て言った。
告白したくらいでは、揺らぎそうもない凪美子の心。
「あの日以来、蓮見さんのこと忘れられなくて」
気持ちが抑えられなくなり、連絡したと言う文利。
以前にも、凪美子に近寄って来た男がいた。
凪美子ではなく、凪美子の〝 社長 〟という肩書に食いつき、あわよくば結婚して、自分が社長に納まろうというもの。
そんなこともあってか、文利の告白にはときめきもしなかった。
まして息子ほど年が離れている文利に対し、男として見ることはない。



