「こんな所で会うなんて、偶然とは言え、何か運命かしら?」
紫が合同説明会の時の出会いのことを言った。
確かにホントにそうだと武尊は思った。
今日も本当は、この帰り道は通らないはずだったが、何となく気分で、違う道を来たせいで、二人は出会った。
実を言うと、武尊はあの会場で紫と出会った時から、彼女の清々しい雰囲気に何となく惹かれていた。
また秀奈に対する眼差しや、小さな秀奈の手を握る彼女から、愛情や優しさがにじみ出ていた。
武尊は余計好意を持った。
ただ、それは憧れ、であって彼女とどうこうなろうというレベルではなかった。
何となく会えたら嬉しい、それ程度だった。
そして武尊達は別れた。
武尊は振り返り、秀奈が水溜まりを飛び越える度、紫に褒められ喜んでいる、それを優しく見つめる紫の姿を、そんな二人を見送った。



