――武尊君、見てる? ちゃんとカジュアル部門立ち上げたわよ! あなたとの約束のブランド。

 思えば、あの合コンで、初めてリクルートスーツを着たあなたを見た時、そこにいた誰よりも目を引いたのよ? 

そのスタイルのせいじゃない、あの時から、きっと私も無意識に惹かれていたのかもしれない。

私のセカンドライフに、そっと花を添えた男性。一生忘れられない人となった。

武尊君? 次も(来世)あなたに会いたい!

ううん、あなたに会いに行く!

あなたに一番に会いに行く! そして、私の全てを、私の人生をあなたにあげる!

子供⁉ 大丈夫よ! 気にしなくても。あの子達には必ず巡り合うようになってるから。

だから、武尊君、あなたも私を必ずつかまえてね? 強いエネルギーを放って私を引き寄せて! 

あ、あと、今度は、年の差、離れていても、せめて五つぐらいにして? 今回のはあんまりよ? 
 
でも、前世からの約束、追いかけて追いついてくれてありがとう。

大好きよ、武尊君!



風にそっと揺れる、菜の花を見ながら、凪美子は思った。



誰かが、何かの拍子に、武尊を思い出す、それだけでいい。

それこそが、武尊という人間が生きた証になるのだから。