PCには、凪美子と出掛けた日の、写真や動画が残されていた。
武尊が撮った、凪美子の表情は、どれも穏やかで優しいものばかりだった。
その中には、武尊の笑い声も入っていた。
「武尊から見たあなたは、とても素敵な人なのね? あんなに笑ってる武尊の声も久しぶりに聞いたわ」
母の知らない武尊がそこにあった。
そして続けて話し出した。
「あの子、子供の頃から不思議なことを言う子でね?」
生まれて来た瞬間を覚えていたことや、武尊が三才になった頃、木蓮の花にお釈迦様が見えるとか、その頃から成人するまで、夢の中で、自分に笑い掛ける女性が現れる、それが決まって同じ夢。
はっきりと顔は見えない。近付こうとすると目が覚める。
でもある時を境に、その夢の話もしなくなったと言う。



