その姿を見て、武尊の母親が、凪美子の両肩を抱いて、痛みを共有した。
それから、武尊の母は、凪美子を、武尊の部屋に案内した。
部屋はあの日のまま、まるで主を待つかのように、時間が止まっていた。
「片付けられないのよ。分かってるのよ? 武尊がこの世に未練を残して、ゆっくり眠れないってことも。でもまだ出来ないの」
言いながら涙を拭う母。
凪美子も目を赤くしたまま、部屋を見渡した。
棚の本やDVDが綺麗に並べられていた。
母は、自分が片付けたのではなく、武尊自身が、自分の死を予期していたのかどうかは分からないが、いつの間にか、部屋を綺麗にしていたのだと言う。
「私、操作が分からないから、長男に教えてもらって、PCを開いてみたの」
おもむろに電源を押す母。



