武尊には、姉と兄がいて、兄弟達もすでに犠牲になっていた。 五つ上の姉は未だに支え、真ん中の二つ上の兄は、「俺は長男だから!」とそそくさと家を出て行ってしまった。 逃げてしまいたい気持ちは痛いほど分かる。 この状況は〝 麻痺 〟以外の何物でもない。 ――こんな環境で、夢も希望もあったもんじゃない! 僕はすでにブラックリストに入ってるんだから。 社会的信用を失ってるんだ…… それからまたバイトに明け暮れる毎日。 就活も疎かになりがちだった。 大学では、すでに内定をもらったと聞こえ始めた。