――母さん、僕が不憫だと思ってる?
苦労しかしてないとか? まさか! 苦労とか不幸だなんて思ってない。
病気になってから、家族が揃って、好きな人がそばにいて、むしろ今が、幸せの絶頂だと思ってる。
がんになったことは喜べないけど、みんながいてとても嬉しい。
母さん、ごめんね。親より先に死んじゃうから、僕は親不孝の罪で地獄行きだな。
父さん! しっかりしてくれよ! 何も言わない分損な役回りで、誤解されることも多いけど、僕は分かってるつもりだから。
兄貴、いつもかばってくれてありがとう。
兄貴の話はいつも面白くて、僕の知識の幅を広げてくれる。
頭の良さ、スマートに仕事をこなす、そんな兄貴に憧れてた。
兄貴みたいになれそうもないけど、僕の自慢の兄貴だったよ!
だからさ? 父さん、兄貴、母さんを頼んだよ!



